デリケートゾーンのケア。におい、かゆみが気になる!でも婦人科は行きたくない!
日本ではタブー視されている、お下の話です。
ムレやおりもので、ニオイが気になったりかゆみがあったりしても、婦人科にはなかなか行きたくないですよね。
親から教わることも少なく、病院でも詳しくは教えてくれない女性の陰部の洗浄について説明します。
子供の頃に、ばい菌が入るから触っちゃいけないと言われたことはありませんか?
大人になってからも、その言葉の縛りで触ってはいけないゾーンだと思っている方もいます。
婦人科には、おりものやニオイで受診する方はとても多いです。
その中には、陰部を洗ったことがないという人もいます。
それよりも多いのが、汚れ、ニオイが気になる、かゆいからという理由で石鹸をつけてゴシゴシ洗っている方です。
うちの母親は男兄弟の中で育ち、子供の頃に母親からおまたを洗うということを教えてもらわなかったらしいです。
社会人になって、友人から洗わなければならないと聞いたそうです。
母親は自分が恥ずかしい思いをしたということで、私は子供の頃から洗うように教わってきました。
そういえば中学校の修学旅行で、クラスの女子の5人しか大浴場に入りませんでしたが、引率の先生が
『ちゃんと下(した)を洗って入りなさい』
と教えてくれ、5人横並びで洗った面白い光景を思い出しました。
当時も今も、そんなことをちゃんと教えてくれることはないようですね。
その点では私は良い環境でした。
看護師になって婦人科の経験も多く、女性自身自分の体のことなのに知らない人が多いのにとても驚きました。
女性の陰部の皮膚はとても薄く、小陰唇の内側は粘膜です。
『デリケートゾーン』という名の通り、デリケートな造りになっています。
(話にするのもデリケートな話題ですが)
お腹の臓器は腹膜に囲まれた空間で、男性では完全に閉鎖されていますが、女性は卵管を通して外とつながっています。
つまり、外陰部はお腹の中に繋がる入り口とも言えます。
腸も腹膜には包まれていますが、実は腸の内側は口から肛門まで外側です。
ちょっと混乱しますが、ひっくり返すと(実際はひっくり返せませんが)腹膜の外側になるんです。
大事な臓器を守る腹腔内に直接つながる形をしている女性は、気を付けなければいけません。
外陰部を清潔にたもたないと、外陰部炎、膣炎、ひどいと子宮~腹腔内へ感染することもあります。
外陰部には尿道口もあり、尿道炎、膀胱炎、ひどいときは腎臓まで感染が広がることがあります。
なので、清潔にたもたなければいけません。
婦人科に受診したことがある人は、石鹸を使わずお湯だけで洗ってくださいと言われたことと思います。
健康な膣内は、弱酸性のpH(ペーハー)に保たれています。
雑菌やウイルスと戦うデーデルライン桿菌(乳酸菌の一種)や常在菌(体にもともといる菌)のバランスが保たれています。
ボディーソープや石鹸のほとんどがアルカリ性のため、膣内のpHが乱れて、菌のバランスが崩れて雑菌やウイルスが繁殖してしまいます。
そのために、おりものが増えたりニオイのもとになります。
また、常在菌の中でも増えると悪さをするカンジダ菌も繁殖します。
(カンジダは、抗生物質を飲んだ時や、疲労、ストレスなどでも増えることがあります)
お湯だけで流すとは、この理由があってこそです。
海外では、デリケートゾーン専用のケア用品はたくさんあります。
日本は、その部分でタブー視されているのであまりみかけませんが、最近ではデリケートゾーン用のソープが販売されています。
膣内には雑菌やウイルスをやっつけるための自浄作用がそなわっているので、ぜひ専用のソープで洗ってください。
通常の石鹸のように、個々によって合う合わないがありますので、ご自分に合ったものを見つけてください。
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洗い方は、必ず前から後ろ、お腹側からお尻の方向へ。
お尻の方には、雑菌がたくさんです。
よく聞くと思いますが、大腸菌です!
トイレで拭くときも、必ず前から後ろへ…おしっこだけの場合ももちろん前から後ろです。
むしろ、おしっこだけの時は押さえる感じで、なるべく摩擦をかけないようにしましょう。
膣内が正常にたもたれていると、このような雑菌も入らないようになっていますが、大腸菌は強い菌なので安易に感染することがあります。
なので、肛門に触れてから陰部を触ることはなるべく避けます。
お湯で前から後ろへ流し、ソープを使う場合はよく泡立てます。
(デリケートゾーン専用のソープは普通のボディーソープに比べて粗い泡です)
泡で出てくるソープが手間いらずですね。
そして、大陰唇(ふっくらした部分)、大陰唇と小陰唇(いわゆるびらびら)の溝を指で撫でるように前から後ろへ。
陰核も皮があるので、手前を引っ張るようにして皮の内側をやさしく洗います。
真ん中は外に触れる部分だけ、泡(お湯)が触れる程度にします。
おまたの汚れは、主に皮脂やたんぱく質です。
恥垢と呼ばれますが、つまり垢ですね。
尿、おりものや経血などもたまります。
造りから皮膚も浸潤しやすく、下着、ナプキンやライナーの繊維などもたまりやすくなっています。
これらを毎日洗い流して清潔にすることが大事です。
月経前の年齢が低い女の子の場合は、小陰唇が未発達で大陰唇同士がくっついて湿潤しやすいです。
また幼児期だと免疫力が弱く、排泄時の拭き残しなどで感染もしやすくなっています。
垢がたまっていないかしっかり開いてみてあげてください。
赤くなったり、おしっこやお湯がしみるという場合は、一度小児科で診てもらってください。
ときどき膣の中に指を入れて、おりものなどを掻き出すように洗うという方もいますが、それはダメです!
膣内には自浄作用で粘液があります。
それまで洗い流してしまうと、膣内が傷付きやすくなり、感染もしやすくなります。
膣内は洗わないようにしましょう。
膣内用の洗浄剤も売っていますが、外側の洗浄でもおりもの、ニオイが気になる方は病気が隠れているかもしれないので、婦人科を受診することをおすすめします。
婦人科の勤務時に、おりものとニオイで受診された方は…
一番多かったのが雑菌による膣炎。
おりものが白く、膣や子宮口のビラン(ただれたように赤くなっている)があります。
洗浄をして、膣剤を入れることでおさまります。
強いかゆみを伴うカンジダ。
おりものが白くもろもろした感じで、とにかくかゆみがひどい。
掻きむしったり、トイレの時に強くこすったりするので、大陰唇や小陰唇が赤くなっています。
掻きむしるとこで出血する場合もあります。
雑菌性のものとは違いカンジダは真菌(カビ、水虫の仲間)です。
カンジダ用の膣錠を入れて、外側にはカンジダ用の軟膏を塗ります。
繰り返しやすく、治療をしっかり続けることが大事です。
加齢に伴う自浄作用の低下。
生理がなくなり更年期に入ってくると、ホルモンバランスとともに潤いがなくなります。
自浄作用が低下することで、雑菌に感染しやすくなります。
STD 性感染症。
クラミジア、トリコモナス、ヘルペス、梅毒、淋病、尖圭コンジローマ、毛じらみなど。
こちらはそれぞれに治療が異なるので、婦人科で診てもらわなければいけません。
感染性のものは人に移す可能性が高いです。
また、感染の重複、月経不順や子宮がんのリスク、不妊症にもつながることがあります。
しっかり治療をしましょう。
こんな方もわりと多いんです。
タンポンの抜き忘れです。
一つ入れたのを忘れて二つ目を入れてしまい、置忘れというのが多いようです。
もともと出血量が少ない方も置忘れてしまうようです。
そのようなとき膣の中はビランがひどく、しばらく洗浄と治療に通います。
あまりにひどいときは、内服薬も出ることがあります。
どろどろになったタンポンを取り出すと、クリニック中が腐敗臭で翌日まで取れません。
そのくらいニオイがひどいですが、次の生理までや、家族にニオイを指摘されるまで気付かない人もいます。
月に1人~2人はいましたので、頻度は高いです。
タンポンは必ず紐が外に出ているようにして、入れたことを忘れないように気を付けましょう。
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