病棟看護師が【夜勤】で体験した、ちょっとゾッとする話。
涼しくなる話には時期が早いですが…
病院のちょっとゾッとするお話をひとつ。
リハビリ病院に派遣で勤めていて、夜勤が月に8回くらい…つまりほとんどの勤務が夜勤というときがありました。
その病棟のナースステーションはオープンのカウンターになっていて、エレベーターのほうを向いてカルテを書いていました。
もう一人のナースは仮眠中で、一緒に夜勤をしていた介護職員は見回り中でした。
時間は午前2時、俗にいう丑三つ時です。
急に、2基あるうち1基のエレベーターが1階から5階まで上がり、しばらく止まりました。
『守衛さんの見回りかな?』
と思うと、また動き出して次は4階でしばらく止まりました。
私がいた病棟は2階です。
気になって見ていると、また動き出して3階、2階と止まりました。
スーッとドアが開き…
そこには思っていた守衛さんの姿はありませんでした。
誰も乗っていなかったんです。
しばらくすると、スーッとドアが閉じ、一階に降りていきました。
しばらくすると、今度はもう一基のほうが動き出しました。
けれど今度は一番上の階でしばらく止まり、そのままほかの階に止まらずに1階まで降りていきました。
ここで、ぎゃ~っと叫ぶような人間には、残念ながらできていません。
リハビリ病院は、脳の疾患で徘徊する患者さんも多かったので、私は誰か降りたかも!と安全面で心配になりました。
すぐに守衛室に電話し、エレベーターがおかしな動きをしたので、1階と5階を見回ってほしいと連絡しました。
3階、4階は病棟だったので、そちらにもすぐに電話をしました。
そして、自分の階ももちろん巡回しました。
階段も確認しました。
が、誰もいず…
1階、5階の出入り口は全て鍵がかかっているので、出入りもできないとのこと。
もう一人のナースが仮眠から起きてきたときに、巡回で気を付けてという意味でそれを話たら
『怖いこと言わないで!ゾーッとした!』
と…そこで初めて私もゾッとしました。
リハビリして元気に退院する方がほとんどだったので、みんなそっちの話には弱かったんです。
しかし、次の夜勤も、その次の夜勤も、同じことが起きました。
夜勤明けの申し送りで、一応報告します。
万が一、徘徊してほかの階に行ったり、階段を通ったりしないように注意を促すためですが…
けれど、みんな『怖い!』というだけで、誰もその現象を見たことがなかったようでした。
師長さんにも報告し、巡回の徹底をしてもらうように頼みました。
あ~はいはい、というような感じでしたが…
それでも、私の夜勤のときは、きっかり2時にエレベーターが動き出します。
一度、目の前で止まったエレベーターの中に入り、すべての階に行ったこともあります。
何度聞いても、ほかの人は見たことないと言います。
私は派遣で、その病院も勤務が浅かったので、長くいる常勤の人に聞いても見たことないと。
そのうち、私がおかしなことを言っているというような噂になりました。
ほかの病棟看護師からは、ひどいことを言われてました…
霊感があるとかいって、おかしな人…
なんていう風に、完全に変な人扱いでした。
(霊感は、自信を持ってまったくありません!)
私が寝ぼけてた?
いや、まさか!もともと夜勤には強く、仮眠でも寝ることはないくらい…
幻覚?
いやいや、私、そこに来たエレベーターに乗ったし…
そんな夜勤が続いて、久しぶりに日勤になったとき、用事で事務局へ行きました。
そこにはエレベーターと出入り口の監視カメラの映像がついていました。
もしかしたら何か映ってるかも!と思い、その時間の録画がないか尋ねました。
『録画はしてありますけど、どうしてですか?』
かくかくしかじかで…と事の成り行きを説明すると…
事務局でまさかのドッと大笑い!
『??』となっている私に説明してくれました。
『その時間は毎日エレベーターの自動点検で動きますよ』と。
えぇ~っっ!
肝心の夜勤をする職員は誰も知りませんが!目撃してませんが!
その事実は、事務の人しか知りませんでした。
(守衛さんも日勤だけの人は知っていたが、夜勤だけの人は知らなかったらしい)
幽霊話じゃないことにみんな笑っていましたが、私はそのことが逆に怖かったです。
笑い話じゃないんです!
誰も危機管理意識がなっていないことにゾッとします!
患者さんの徘徊は、大きな事故にもなりかねません。
徘徊じゃなくても、こっそり意識的に出ていく患者さんもいます。
私は派遣であちこちの病院に行ったので、そういった事故を目の当たりにしたこともあります。
そのエレベーターに乗ったらどうするの?
ということは、誰も考えないんでしょうか…
脳に障害があり徘徊をする方は、ほんとにどんな行動に出るかわかりません。
暗い廊下を歩いていて、目の前で明るく明かりがついたエレベーターが来たら、まず乗ります。
そのあとに止まる階で降りると、知らない場所なのでどこに行くか見当がつきません。
病棟の廊下を歩いていれば医療者の目にとまるかもしれませんが、夜勤で職員が少ないのですり抜ける可能性のほうが多いです。
廊下を歩いているとドアがありました。
開けて出ます。
階段を昇る、もしくは降ります。
転落するかもしれないです!
と、そこまで考える私がおかしいわけではありません。
危機回避するための知識です。
医療者はそこまでの訓練をうけているはずですが…
『ヒヤリ・ハット』 は誰かを吊るし上げるためのものでもないですが…
それは医療現場だけではなく、どんな現場にもあるものですので、よく考えてみてくださいね。
結局は、私一人がゾッとしたお話でした~
いや、ちゃんとした看護師さんなら、共感してもらえますよね?
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